昭和8年に発足した民家研究会の今和次郎(以下名、敬称略)、竹内、柳田、蔵田、小倉、大熊等諸先輩に
よる史的、現状、改良の3部的研究の事績を享けて、日本民俗建築学会が石原憲治の主導で昭和25年に創
設された。それまでの日本建築史は社寺などが主流で、住文化と建築との結びについても不十分であった。従って
史学上のみでなく、本学会が広い学際的分野に関わりをもつ学会として創設されたことは敗戦後の日本社会とし
ても当然の反省の一端でもあったと言えよう。その当時藤島亥治郎はF民俗建築には人の気持ちそのままに溢れ
出た尊さがあり、すべては民間文化から錬成され、何時の世にもそれは絶えず広く裾を拡げて、無言ではあるが、
偽らぬ純真な心そのままを繰り広げているだけに、本当の物であり、人間的、郷土的で、生きてゆくために最もよい
資料であるGと述べている。このように持っている専門に拘ることなく、本会会員のF人と自然と装置Gとの織りなす基
本的住文化に根ざした建築の気質は、今や各々の笑顔となって、驀進しているといいたい。
日本民俗建築学会第3代会長 佐藤重夫